プチ社長日記:『最近見た映画メモ』の話

オーシャンと11人の仲間 特別版 オーシャンと11人の仲間 特別版
■あらすじ
カジノの金を盗む。

■レビューのようなもの
ガキの頃、ラスベガスのショーをテレビでやっていて、
サニー・デービスJr.は親父のお気に入りだった。
子供の私には彼の魅力を当時は知る由も無かったが、やはり今見ると
サニーと、フランク・シナトラの存在感に圧倒される。
それにしても、ラスベガスの朝日ってのは、なんであんなに目に染みるんですかね。

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■あらすじ
ハワード・ヒューズという人の一生。

■レビューのようなもの
全くのフィクションより、実話を基にした映画が好きな私。
軍事産業に寄生していた、と言う評価もあり、経営者としては随分も問題もあるが、
まぁ夢を追えて良かったね、というお話。
一方で、航空業界に対する功績はもともと評価されるべき人物なので、
そこを強調しているのは好感が持てる。
わが道を行く、『俺道』好きな人には共感を与えると思われる。
見て損はない。


ヒトラー~最期の12日間~スタンダード・エディション [DVD] ヒトラー~最期の12日間~スタンダード・エディション [DVD]
■あらすじ
ヒトラーに振り回されててんやわんや

■レビューのようなもの
ドイツ人のシナリオによる、ドイツ人によるヒトラー。
この意味だけでも価値があるが、正直それだけかな、と思ってた。
見てびっくり、久々に見ごたえのある映画。
追い詰められた人々の、それぞれの胸に去来する思いの描写が見事。

最後の人物紹介で、意外にSS含む幹部の人間が最近まで生きていた、というのも驚いた。

美化してる部分や、色が付いていえる部分は当然あるだろうが、このタイミングで作らないと、(生存者がいなくなってからでは)このリアルさはなかったと思われる。
超お勧めだが、軽くGWのウキウキ気分を吹き飛ばすへヴィさ。


ブラッド・ダイヤモンド [Blu-ray] ブラッド・ダイヤモンド [Blu-ray]
■あらすじ
ダイヤモンドって、そんな貴重じゃないと知りつつ大博打。

■レビューのようなもの
ダイヤモンドの価格操作、ってのは知ってる人は知っている。
ヴァン・デ・コープって名前で出てる企業をデビアスと置き換えれば大よそ間違いないかと。映画本編もいいが、キンバリープロセスってザルだよねそうだよね、という付属ドキュメンタリも良かった。
あと、正直、ディカプリオってあまり好きな役者じゃなかったのだが、物凄く上手かった、と再評価。アフリカの大地で繰り広げられる地獄のような景色と天国のような風景の対比が見事。これが「TIA」(This is Africa)なのかと。
私はダイヤよりもタンタルなどのレアメタル市場に興味があるのですが、まぁ、似たような話ですね。

プチ社長日記:『トランスポーター/トランスポーター2』の話

■あらすじ
運び屋が搬送以外の仕事をする。

■レビューのような感想(ネタバレあり)
ジェイスン・ステイザムという役者が好きだ。何が好きかっつーと、しわがれた渋い声が良い。
『SNATCH』のコミカル・テイストも捨てがたいが、当シリーズのストイックな役柄が声質により良く似合う。まぁ、自分のルールは結局守れなかったりする訳だが、仕事優先なところはカコイイですな。
シリーズでは1も2もあまり変わらん気もするが、2は1のパロディ的な要素があるので、やはり1⇒2の順で観るのが良いかと。

因みに1のクルマ(BMW)は破壊されるが、2のクルマ(アウディ)は破壊されない。いや、傷すらも付かない。2はアウディ社が全面的にスポンサードしているからだが、一方でボコスコ壊れるフォードのパトカーに全米が涙する。
『カネを出してるところが偉い』、という身も蓋もない話ではあるが、コンクリ突き抜けようが鉄パイプを何本もなぎ倒そうが無傷なアウディを観ると、結局、大口径銃で狙撃されても大丈夫だったんじゃないか感が拭えない。

うろ覚えだが、日本の西部警察は活躍するのも壊れるのも全部日産車だったような気がするんだけどな。『悪党が乗ってるクルマで、あからさまにボロイ中古車が混じっていると、必ず破壊されるの法則』が家族内で罷り通っていて、兄貴と『あ、コイツ壊れるで!!』とか予想を立てて喜ぶと言う、ガキの頃から素直な見方をしていたのを覚えている。
・・・ 話が逸れた。

全体的にリュック・ベッソン監督の娯楽作品だから細部は気にしてはいけない、というのは解る。ヒロインが酔っ払って主人公を訪れ、平然と運転して帰るのを見ると飲酒運転じゃないかと突っ込みたくなるし、飛行機内のアクションでフランクが機首側に立っているのに、何故、急上昇で床に落ちた拳銃がフランクの方に滑るのかがわからん、など突込みどころは満載だが気にしてはいけない。
ただ、それでも個人的に全編を通じてどーしても気になるのは『あの派手なカーアクションで何故エアバッグが作動しないか』、という点である。(パトカーにもエアバッグは付いていないようだが。。。)
娯楽作品としては面白いっすよ。ステイザム格好いいからマジで。ハゲだけど。
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プチ社長日記:『スカイ・クロラ面白す』の話

■あらすじ
兵器の「一寸の虫にも五分の魂」、で、おまえらはどうなのよ?的な。

パトレイバーを見てから、押井守好きなワタシ。当然チェック。劇場で見ようと思ってたんだけど、去年の夏は土日が殆ど空いてなかったもんで。
ストーリーは見ていただくとして、やけにリアルなCGと、のっぺりと書かれたキルドレとの対比が、キルドレの人間臭さを消していて良いかな、と。

ちょっとレーダー基地に文句言いに行くところは、ストーリー的にあまり関係なかったのが気になったけど。(二人になる導線なら引っ張りすぎ?)

ポーランド参考と思われる、さっぱりとした町並みの描写がよい。
東欧の景色がすきなもんで。
あと、あっさりしたエンディングは賛否分かれるかも知れないが、僕は割りと気に入るパターンなわけで。
お勧めっす。


プチ社長日記:『007 カジノロワイヤル』の話

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■あらすじ
税金使ってヤクザと博打

傑作と評判が高いので借りてきました。
『ジェームズ・ボンド』と言われるとロジャー・ムーアが真っ先に浮かぶ私にとっては、久々の007作品。
カジノが舞台という変わった設定だが、雰囲気がよく出ていて、カジノ好きにもお勧め。

一方で今度のボンドはアクションが多く、そのほとんどがCGではなくスタントと知ってさらに驚き。(スタントがギネスに掲載されている)
アクションだけでなく台詞回しもうまくて、見てて勉強になる。

ボンド役を始め、全体的に新しい007だが、オープニングの曲が話の内容を予見する内容(最後でつながる)であったり、ボンドの『名乗り方』、そしてお約束のアストン・マーティンなど、古い007ファンも納得の出来でお勧めである。

■オープニング


個人的には、ボンドを久しぶりに見たせいか、何故か『大木凡人(おおきぼんど)って、最近、何やってるんだろう?』と、ふと気になってしまい、それが最後まで頭に引っかかって集中できなかったのが残念な点である。
大木凡人おそるべしである。

・・・何の話だ。

プチ社長日記:『CMMI基本と実践-プロジェクトが変わるプロセス改善のすべて』の話

CMMI基本と実践-プロジェクトが変わるプロセス改善のすべて CMMI基本と実践-プロジェクトが変わるプロセス改善のすべて アクセンチュア

いただきました。拾ったとも言えますが。
ありがとうごぜぇます。

「CMMIって何?」ってのはこちらをご参照いただくとして、まぁ専門書であり、ある程度以上の規模のプロジェクトに参画しないとCMMIそのものが活きないことを考えると、読者層は限定されるかな、と。
ただ、和書だと全部で10冊を下ると思われるCMMIの解説本の中から数冊と比較してみた感じ、本書が一番良いのは確かだな、と。いや、マジ贔屓目なしで。
もっともそれは、自身のCMMIの理解度や、モロにその現場にいるか、知識として持っていれば充分なのかといった立場にもよるけれど、少なくとも私の場合はそう感じましたね。。

CMMIとかって、実際にレベルがどうかと言った議論になって、「レベル4目指します!」とかよりも、プロジェクトが確実に遂行されるよう、改善につながる適切な評価を叩き出す為に、『いかに使うかだよなー』、というのは現場の意見であって、本書はその現場への『読み換え』を、プロジェクトタイプや各ステップに対して紙面を割いて、おまけにキチンと章立てまでして説明しているのが良い。

私は最初から読んだけど、リファレンス的に使う方が良いだろね。正直、必要なところだけ読むだけでいいし、頭から読んで面白い類の本でもないし。

因みに、同期の方をはじめ、執筆人の何人かを存じ上げているが、悲しいかな記憶にあるのは殆どが酔っ払った姿であり、あの酔っ払い集団と本書のイメージがイマイチ結びつかない。
おそらく、シラフの時に書いたものだと推測される。

プチ社長日記:『強いIT戦略』の話

強いIT戦略 攻めの経営に向けたIT活用の新機軸 強いIT戦略 攻めの経営に向けたIT活用の新機軸 アクセンチュア テクノロジーコンサルティング

「ぱーぱ」から貰った本。知っている方が監修や執筆している本をいじるのは難しいが、気にせずゴー。

本書は経営トップとCIO/IT部門が『ITと経営目標の整合性』などについて理解を共有することが目的と位置づけられているので、対象読者層はかなり限定されている。ただし、経営トップをターゲットにしている事もあり、『ITと経営』について総花的に論じられている(特に序〜2章)為、情報産業に身を置く方なら読んで損はないと思われる。

構成は序章と1〜6章からなるが、経営トップの視点としては序章が簡潔に纏まっており、ここでITの経営に対する貢献が、満足から遠い状況であること指摘し、経営トップとCIOのコミュニケーション不足などを理由として挙げている。(1000人以上の所謂大企業において、経営トップと週に1回も話せていないCIOが77%に昇るデータなどが挙げられている。)

続く1から5章はイノベーション、インフォメーション、インテグレーション、インフラストラクチャ、インダストリアライゼーションと『5つのI』の切り口から語られている。
横文字が嫌いな人には最初から嫌悪感を与える挑戦的な章立てが魅力的。
ただ、ITインフラについても述べている(4章)のはバランスが良いな、思う。レガシーシステムの廃却に手こずり、攻めのIT投資ができないなんて、よく聞く話じゃありませんか、という感じだが、具体的な調査結果として指摘されることはあまりなかった(気がする)。

個人的には後半の章、の方が読みやすくて良かったかな。

また、最後に6章としてIT人材マネジメントについて論じられており、オフショア開発やキャリアモデルについても論じられている。
個人的にはここが一番興味引かれる分野である。

最初に書いたように総花的な内容となっているので、現状のIT(IT投資)の問題や今後の向かう姿の示唆(例:SOA/キャリアモデル構築)をざっくり押さえてあり、これらを知りたい人(SI営業とか)には本書は適している。アンケート等の調査結果や説明図が多いのも良い。
が、逆につっこんだ議論がなされている訳では当然ないので、それぞれの領域には別の情報源にあたる必要がある(例:標準化などはCMMIなどをあたる必要がある)のは仕方ないですね。この辺、物足りないと感じる人もいるかも知れないですが、まぁ、対象読者層ではない、ってことなんでしょうね。えぇ。

>※余談だが、「身近な例ではQRコード(3次元バーコード)がある」との記述があり、誤植と思われるが、正直、『どんなバーコードやねんww。そんなもん身近にねぇよww』と思ってしまった。が、作っている人間がいた。天才。3次元バーコード

プチ社長日記:『情報革命バブルの崩壊 』の話

情報革命バブルの崩壊 (文春新書) 情報革命バブルの崩壊 (文春新書) 山本 一郎
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所謂、切込隊長の本。
ソフトバンク、及びソフトバンクモバイルの分析に端を発し、貧者の遊び場と化したネット界の現状をつまびらかにしていく。
ソフトバンクの資金を引っ張る際のコベナンツ条項にも触れており、この辺の事情を知っていれば先日のソフトバンク前倒し中間決算報告の裏にあるカラクリ(合法)も見抜けたであろう。

山本一郎氏の著作に共通して言えることだが、非常に読みやすい。
まぁまぁお勧め。
因みに、開発側の現状などについては述べられていない。あくまでバブルを軸にした、金の行方の視点で書かれている。

プチ社長日記:『トロイ』の話

トロイ トロイ

■あらすじ
不倫のおかげで大騒ぎ


■れびゅー
えー、この手の映画は好きで、ブラピも好きなんですが、実は海賊版を持っておりまして、それも上海で数年前に買って放置しておった奴なのですが、ちょっと仕事でお祭りが収束しつつあるので勇気を持って観ました。

何で勇気を持って、と言うと、映画館にビデオ持ち込んだだけの奴などが横行しているのがかの国の海賊版DVD事情でありまして、まぁ中国に限らず東欧なんかでも見かけるのですが、品揃えが全部海賊版DVDや海賊版CDの店なんかが平気であるわけです。それもメインストリートに。
ですから、ある程度、賭けのリスクはあるわけで、ブラピが流暢な中国語を話している可能性も大いにあるわけで、そのときの精神的ダメージたるや、深い悲しみと後悔で1日を無為に過ごすほどのもんです。
幸い、今回は英語/オランダ語で再生できるDVDだったので事なきを得ましたが、逆に考えると、中国人がこれ買ってたらどうする心算だったのだろうかと考えてしまいますね(一般的に中国人は日本人より英語が苦手)。そこはまぁ、中国ですから。

さて、本編ですが、実は私はホメロスの『イリアス』『オデュッセイア』は結構好きであり、何回か読んだ(勿論邦訳ですが)ことがあるので、やはりどうしても比較してしまう。
勿論、長きに渡るトロイ戦争の物語を2時間かそこらで凝縮するにはかなりの無理が必要であり、メネラオスがいきなり殺されたり、ヘクトルがパトロクロスをアキレウスと『勘違いして』殺すなど多々ある(ホメロスでは、メネラオスはパトロクロスの遺体を守るなど、割といい奴。奥さんとられたけど。)ものの、一々細かいことを咎めるのは野暮ってもんですぜ奥さん。
ただ、大きな変更点としては、人間対人間、という面が大きいことですかね。
ホメロスの『イリアス』における世界では、人間たちの戦いと並行して神々が戦う。その内、神々の代理戦争化するのがトロイ戦争である。
トロイ方にはアポロン、アカイアはアテネ、というように。今回、その側面をばっさり捨てたのは英断であった。
だって無理だもん。
そういう意味ではスケールの大きな話を無理なく纏めた良品でお勧めですが、これがトロイ戦争の全てかと言うと全然違う、という点は知っておいた方がいいかな。
娯楽作品としては優れていると思いますよ。ええ。
ただ、甲冑がショボいですけどね。アキレウスの甲冑は神(へパイストス)が作った超絶の一品なんだけどなぁ。。。

プチ社長日記:『300』の話

300〈スリーハンドレッド〉 300〈スリーハンドレッド〉
JUGEMテーマ:日記・一般


■あらすじ
マッチョなオヤジ300人が半裸で玉砕

■感想
いきなり話が逸れるが、私は今まで教えをいただいた先生方には恵まれていた。いや、勿論、恵まれるように努力したりしてたわけだが。
中でも高校世界史の大川先生にはお世話になった。卒業後、伊豆に湯治に来られた時に呼ばれ、朋友と共にお邪魔したことを思い出す。

大川師の世界史は近代⇒古代⇒中世という教え方も特異であったが、エピソードを講談師よろしく語り、印象付けることにあった。師の世界史がなければ大学受験で世界史を選択することや卒業後もギボンの「ローマ盛衰史」などは読まなかったであろう。

師がこのテルモピュライの戦いを見逃す筈は無く、粗筋は勿論、『スパルタ人よ、武器を捨てよ!』『ペルシャ人よ、奪ってみよ!』の台詞まで記憶にある。

さて、この話は上記テルモピュライ(テルモピレー)の戦いの話である。ただし、グラフィック・ノベルを素材にしているだけあって、映像表現は大胆に創作が加わっている。
主人公のレオニダスは、弱小コーヒーチェーンの看板にもなっている、あの英雄である。
英雄譚であるから、ペルシャのクセルクセス初め、ペルシャ側が『いかにも悪』という表現に苦笑は否めないが、まぁ映画ですから。

見所はやはり、革のビキニパンツにヘルメット、ガントレット(手甲)、サンダルという『末端ファッション』に身をつつんだマッチョオヤジが赤いマント翻して画面一杯に溢れるところである。
作戦とはいえ、大軍のペルシャを隘路に迎え撃つため、狭い場所に密集するオヤジ達。
戦術は勿論、地中海世界の十八番である密集戦法(ファランクス)であるからたまらない。狭い場所にオヤジがびっちり居並ぶ姿はカマキリの孵化シーンのようである。

モニターがエポクリン臭くなるのではないかと心配するほどオヤジ・オヤジ・オヤジであり、『あぁ、戦いはオヤジが作るのだ』という、無駄なまでの説得力を持つ。クマ系フォモには堪らんかもしれんが、私がペルシャ軍だったら絶対ヤダ。
『スパルタ人よ、服を着よ!』と言いたい。

因みにダビッド画のレオニダスはパンツも履いていない。当たり前ですけど、当時は写実性よりも人間の肉体美を表現する方が優先されたからであって、ホントに裸の訳ではないですよ。

テルモピレーの善戦はギリシャ世界にとってはサラミスの海戦への準備時間を稼ぎ、これに大勝しギリシャ世界を守ったという点で重要な意味を持つ。映画ではプラタイアの戦いで幕を閉じるが、ここではテルモピレーの生き残りが参加している、という設定になっている。(ヘロドトス伝では全滅)

『パールハーバー』でもそうであったが、やられたら最後はやり返さないと気がすまない、というのが映画の世界らしい。

まぁいろいろ書いたけど、トータルでは見てお勧めっすよ。特にクマ系フォモに。(←しつこい)

プチ社長日記:『グーグルに勝つ広告モデル』の話

グーグルに勝つ広告モデル (光文社新書 349) グーグルに勝つ広告モデル (光文社新書 349) 岡本一郎
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決算作業でクソ忙しい中、合間を見て積んであった本書を読了。
えーっと、タイトルを見て(今更)グーグルのビジネスモデルの検証をして、その上で次世代の広告モデルを考える、、、というものかと思ってたが、正直その期待は外れた。
テレビを中心としたマスメディアの今後の有り様について考察したもので、特に放送(マスに対して同時性をもって情報を与えるには適しているが、対象の絞込みなどのリーチが甘い)は今後どうやってその領域を守るか、という点を重視している。そういう意味では副題の「マスメディアは必要か」という方がタイトルに適しているかな。
まぁ、IT屋が見ても参考には殆どならないね、って感じです。何でこのタイトルつけたのか正直微妙。

全体を通してみると何となく著者の言いたいことはわかるのだが、どうもマスメディア贔屓の視線というか、ちょっと楽観的かなー、と言う部分もある。
細かいことだが、議論の積み上げで精緻さに欠けるのも気になった。まぁ、言及しているのが多方面にわたるので、多少は仕方が無いかもしれないが。

「例えば、東京キー局を取り上げてみると、近年の決算では7−8割を放送事業による広告収入で上げており、いわゆるコンテンツ販売等の事業収入は1−2割しかありません。一方で放送事業の原価構成比は6割前後で、その他事業のそれは2割前後となっています。つまりテレビ局というのは、地上波放送に広告を流すと言う非常に儲かるビジネスのほかに、それほど儲けの出ない事業を細々とやっているという構図になっているのです。」
って、そりゃ放送事業が「その他事業」に対して収益構造で優位であるのは判るけどさ、「非常に儲かる」とか「それほど儲けのでない」なんて議論は売上げ比と原価構成比だけ見ててもわかんなくて、売上げ原価比出さないと判んねぇじゃねーか。調べりゃすぐ判るけど。
あと、「その他事業」ってのはこの文脈では新事業と置き換えて良い訳だし、だったらせめて直近何年かの成長性も併せて議論しないと、「その他事業」に投資することの是非には結びつかない。

別の箇所を見ると、「知の拠って立つ基盤」という議論で、よく知られる英国誌「ネイチャー」の調査結果である「ブリタニカとウィキペディアの正確性は大差ない」という議論を踏まえた上で、「でもウィキペディアの記述も元々はブリタニカなどの権威に依拠している」というのは別に否定しない。
でも、だから(放送/新聞などの)マスメディアは必要だ、というのはどうもね。当の権威といわれている新聞社がウィキペと同じネット上で無料で情報配信している訳だし。
勿論、世論形成とかの意味では放送の意義ってのは大きいけど、昨今の質の悪い放送を見るに付け、それも諸刃の剣という感じですねぇ。

そもそも既存のマスメディアvsインターネットという視点で語られているのか、既存のマスメディアの担い手である放送局・新聞社とウィキのようなインターネットでの情報形成を対立させる視点で書かれているのかよく判らん箇所がチラホラする。私の読解力の問題かもしれんが。
前者の視点だと、ネットでガンガン配信している出版社とか東京ローカル(番組をyoutubeにアップしている)を常に考慮に入れないといけない。

加えて、著者は地方紙などで地域密着性の強さを武器に対象をプロファイリングした広告(チラシ)の挿入やスプリット版の提案をしている。
アイディアとしては悪くないが、実際に広告チラシを配布家庭毎に色分けするなんてコストを誰が負担するのか?また、スプリット版(仕事に出る夫と家庭にいる妻で分割できるアイディア)も、例えば共働きの家庭はどうすんだ、という素朴な疑問にブチあたる。
仮に、これを実現できたとしても、ネットではシリウステクノロジーが開発しているような地域性のある広告露出アプローチなどの研究・実用化が進んでいる。こちらの方が低コストで実現できるのは間違いない。これでは地方紙は勝てんよ。

一方で、終章で述べられるメディアアウト・パラダイムに対する打ち手の事例として紹介されたのがリコーGRとブラザー工業のブログというのもちょっと引いた。
後者なんて筆者が認めているとおり2007年3月以降新規エントリがないのであるし、死にコンテンツと言って良い。未だにそんな昔の成功事例を引っ張ってこざるを得ないこと自体が、現時点では広く成功する手段ではないということを認めていることになるのではないか。

まぁいろいろ書いたけど、現状のマスメディアの抱える問題を総花的に見るには良く、今後の考察の一助にはなるかもしれないが、逆に言うとピントがボケてて既存メディア頑張れよ応援してるぜ俺は的なものしか感じられないかもしれない。

私自身もマスメディアは必要だとは思うが、それは放送などに代表される、同時に同じ情報を共有することによる「社会との一体感」の形成でとりあえず意義としては充分なのかなと感じている。
まぁ、どうでもいいですけど。私はテレビ持ってないし。明日も忙しそうだから寝るか。