有限会社Ayleeds社長日記。継接ぎだらけですが、新しいビジネスを求めて世界一周旅行もやってます。

プチ社長日記:『恵比寿にて』の話

ふと見上げると見事な秋の雲。
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写真をとっていると傍の植え込みの囲いに座っていたおっちゃんが、『俺は70年以上生きているが、こんな雲は見たことが無い』と。見ると缶ビール片手にご機嫌な様子。
『本当に見事ですね』と答え、駅へと急ぐ。
明日にかけて鎌倉でやっつけ仕事です。

プチ社長日記:『賛否両論』の話

基本、会食の時には店を自分で決めることが多い。
人生において食事ができる回数というのは限られているので、どうせなら美味しいものを食べたいという思いがある。
以前、星のリゾートの社長も同じ趣旨のことを雑誌のインタビューで述べていた。
私の場合、単においしいものを食べないと損ということもあるが、自分で店を選べば、外した時に納得が行くのが大きい。一方で当たりだったときは、自分も嬉しいし、何かの機会に人を連れて行く店ができたと二重の喜びがある。目的別、エリア別に良い店を知っているというのは、便利なものであると思う。

しかし今回は、自身で料理もし、研究に余念の無い方からの指定だったので、安心して羊のように付いていく。
『恵比寿の日本料理屋で、何ヶ月も予約がとれない店』と言われたが、はて、そんな店あったかなぁ、と疑問がわく。かつての蟻月やQEDではないだろうし、凹町も当日はいつも満席だが予約がとれなくもない。
で、連れていかれたのが、恵比寿と広尾の間の『こんなところに??』という場所にある『賛否両論』という店である。2004年にできて今でも予約が取りづらい、とはどういう訳か。
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どうやら知らないのは私だけで、料理人としてはマスコミなどに頻繁にでている笠原将弘氏が経営する店とのこと。
テレビを相変わらず見ない私は、狭いカウンター越しの50cmくらいの距離で氏が料理していても教えて貰うまで気付かない。リアクションを取りようがないので、連れてきてくれた方にも申し訳ない感じがする。カウンターの向こうでは他に4人位がせっせと料理しているが、皆すごく若い。

料理はおまかせコース。全体的に私好みの薄い味付けで、美味しい。皿はどれも季節感溢れており、栗や銀杏と言った素材が使われる。鮭がもう少し塩味が効いてたらなー、と思った程度である。
時折、氏が若い見習いにボソボソと耳元で囁くのだが、如何せん距離が近いので(指導で)怒ってるのがまるわかりである。
真剣に料理を作ってくれるのはあり難いが、そうなると真剣にこちらも賞味せねばならない雰囲気になり、酒を飲んでもなかなか酔えないのが強いて挙げるこの店の欠点か。あぁ、あと個室があると便利なのだが、カウンターと半個室しかないので、店としての使い方は限られるのは仕方ないところか。

連れてきてくれた方によると、氏はテレビではよく喋るキャラであり、優しそうなイメージとのこと。まぁ、指導で怒る分には優しいとか優しくないといった次元とは異なるのだろうが、そういうイメージはない。
テレビは太って見えるとはよく言われるが、その原因がカメラなのかテレビなのかは私にはよく解らない。ブラウン管のような曲面ではなく、液晶のような平面に映る今のテレビでも太って見えるのだろうか、とぼんやり考えつつ酒をあおる。

あっという間に時は過ぎ、デザートである。デザートは6種類程度の中から好きなだけ選べる。本心は『全部』であるが、気が小さいので2品を選ぶ。美味しかったのだが、『他の選択肢の方がもっと美味しいのでは?』とか考える私は幸せになれない性格なんだろうな。

・・・後になって、気になって氏のレシピを調べてみると、なるほど食べたものと同じものがあった。鮭もあったのだが、そこには『1時間程度前から塩をまぶす。これが大事!』とか書かれていたが、私の鮭はどうみても20分前に塩がかけられており(何故か80cmくらいの高さからまぶしていた)、味が薄すぎるのはもしかしてそのせいかしら、と苦笑いした次第である。予約が取れれば、お勧めである。

プチ社長日記:『かみにえともじ』の話

所謂、文章を書くのを生業としている人ではなくて、ちょっと外れた人の書く文章というのが好きだ。
本書は漫画雑誌『モーニング』のコラムである。
今思えばこのコラムが始まった頃に私は『モーニング』を読み出し、このコラムが終わった頃に読まなくなったので、『モーニング』購読は正にこのコラム目当てだったのかもしれない。
実際、まっさきに目を通していたし。

本書は劇作家(劇団『本谷有希子』主宰)、演出家である作者のコラム(もじ)と、これまた視点を斜め上の方向に持っていくには傑出している、えのもと氏の漫画(え)による頁(かみ)であるが、この絵がまた絶妙で文章に深みが添えられている。

もともと同種の業界にいる鴻上尚史氏の『ドン・キホーテのピアス』というコラムも愛読していたので、もしかしたら劇作家・演出家というのはもともと文章が面白いのかも知れない。
もしそれが事実なら、この種の人々は人間をよく観察しているからだろうな、と思う。他人だけでなく自分をもよく見つめ、悪く言えば自意識過剰なのだが、そこまでつきつけるからこそ、面白い作品を生み出せるんだろうなぁ、と合点がいった。

本コラムは3年半の長きにわたる連載だったが、クオリティを維持しているのが素晴らしい。お時間あれば、是非。
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