2006.08.29 Tuesday
プチ社長日記:『SNSなぁ。。うーん。。』の話
ソーシャル・ネットワーク・マーケティング 21世紀型―『コミュニティ・マーケティング』と『顧客クラブ』
オールラウンドなSNSに関しては第1ステージとしては勝ち負けがはっきりしつつあり、今後は草の根SNSが発展してくるというのが一般の見方。
学園祭ノリでわいわいやるならともかく、ビジネスとしての集客に拘るならクリティカル・マスである15万人あたりをどうやって超えて行くかということに議論が集中しがちで、まさにそういった本かとも思ったのだが、その辺については内容を割いていない。
まぁ、SNSで採算どうこうというより、あくまでマーケティング・ツールとして書かれている。アルシェールに続いてドコモが『プッシュトーク』で炎上する前だったこともあり、かなり希望的に書かれている。いやぁ、しかしドコモはここでも外さない。『ドコモだけはガチ!』と言われる所以である。さすが日経平均が7000円台だった頃よりも株価の安い企業は違う。
本に戻るが、たまにある挿絵ももっさり感溢れるテーストで、しかも何となくピンボケであって意味がない。唯一見た挿絵が米国と日本のSNS発展年表だけであった。
とは言え、知らなかったP&Gのケースや比較的マイナーなSNSサービスのケースが詳細に記述されている点は読ませる。
読んで損はない。
SNSの最近の潮流としては、可能性は勿論認めるが、オールラウンドなSNSはmixiの独走が続き、今後他のSNSが逆転することはないというもの。理由は簡単で、典型的な『規模の効用』が示現するモデル、要は『人が人を呼ぶ』のがSNSである以上、閑散としたSNSに用はないからだ。
機能的にはGREEもMixiも大差ない。寧ろ、機能の独自性を以ってすればキヌガサが独自色を打ち出している。が、抜本的な差別化には到っておらず、現時点ではまったくの閑散である。因みにキヌガサ本日時点で50828人。
明らかに伸びが鈍化している。
ITメディアの記事によると、重要なのはオピニオン・リーダーの存在と軽さとアーキの問題だそうです。そうですか。軽さの実現にはアーキ設計の段階から密接にリンクしてると思うんですが。
個人的には最も大事と思うのは『サービス開始の時期』である。厳密にはブレイクするクリティカル・マスに達する時期の早さである。GREEがサービス開始としてはMixiに先んじていたが結果として後塵を拝したのは、クリティカル・マスまではエンジン全開でサービス展開に取り組まなければならないのを、諸所の事情でできなかったからだ。
勿論、国内においてはこの規模でのSNSは初めての試みであったのだから、『だいたい15万人になったらブレイク・アウトだから、そこまでは赤字甘受でガンガン広告を出していけば良かったのに』とかいう意見は後出しジャンケンである。日本でのクリティカル・マスの閾値が15万人なのか、100万人なのかは当時は誰にもわからない。楽天に勤め、個人でとれるリスクの中で緩やかながらも拡大していった田中氏の戦略は間違いではなかった。
ただ、そうは言っても日本のSNSがアメリカのSNSを1年遅れで輸入しただけであり、アメリカのフレンドスターがマイ・スペースにあっさり抜かれたのもまた同様なのである。
早くから事業化した『オレンジ色の憎い奴』Mixi笠原氏の勝負に出る判断が、結果として奏功したのだ。
結局、技術に決定的な差がない以上、このビジネスモデルは先にシェアを取ったもの勝ちなのである。明白だ、と言っていい。
ところが、『最も重要なのはサービス開始の時期です。早いもの勝ちです。Mixiは1着でゴールインしました。おめでとう。』と断言する奴が皆無なのは、あまりにも身も蓋もない意見だからだろうか。
ITメディアの記事見て思ったのだが、Mixiって、よく知らないけど、GREEに比べて目だって軽くないでしょ?キヌガサも。そりゃー軽いのは重要だろうが、決定打じゃないでしょーが。
【Mixiの例】出典:ITメディア
ユーザー数 | ユーザー数に到達するまでの1カ月間平均の増加数 | |
---|---|---|
2004年3月3日 | オープン | |
同7月26日 | 5万人 | 約1万1000人 |
同11月25日 | 20万人 | 約3万7500人(最も伸び率が高い) |
2005年11月21日 | 30万人 | 約5万人 |
同4月3日 | 50万人 | 約9万5000人 |
同8月1日 | 100万人 | 約12万5000人 |
オールラウンドSNSの第1ステージの決着が見えてきてから、今度は『草の根SNS』の笛を吹く奴が多数現れた。
学園祭ノリの路線を目指す場合は、現在GroupTubeのような格安SNSが利用可能であり、システムの独自性に拘らない場合は、同様のサービスは社内SNS的な使
用法も含めて取り込んでいくであろう。トモモトのようなSNSシステムを販売するビジネスモデルは価格面での競争で消耗していくかも知れない。法人向けブログで気付いたら上場までしていたドリコムに倣い、SNS販売のトモモトは勝負所ではなかろうか。
草の根SNSを販売する方ではなく、運営する方はその対象毎に独自の運営法が要求されるので更に困難だと思われる。イベント企画しましょうとか、そういう常套化した手段しかなく、そのイベントの中身で強烈な差別化を図ることこそが問題だからだ。
また、参加者としては、草の根SNSに別途参加してIDやパスワード管理するよりも、Mixiの中でコミュニティを立ち上げた方が早い上、潜在的な参加者が多いので魅力的だ。
結局、地方の過疎化が進んで大都市に人口が集中するのと同様のことがSNSでおこっている。ただ、ビジネス用にセキュリティ強化したSNSとは異なり、最近のSNS運用コストは個人のお小遣いで出来るレベルなので、運営したが最後、閉鎖はまずない。結果、SNSの数だけは増加の一途となり、個々は閑散としていても全体としては『SNS大盛況』みたいな記事は今後も書かれ続けるだろう。やれやれ。
まぁ、ダラダラ書いたけど、何が言いたかったかというと、経営ブログランカーズにSNS機能をつけるのはタイミング遅すぎであり運営ノウハウ不足であり技術不足でありヤル気不足でもあるので見送りですねということである。
・・・CEO−Linkとか盛り上がってるんですかね?
♪おながいします(ランキング)