有限会社Ayleeds社長日記。継接ぎだらけですが、世界一周旅行もやってます。

プチ社長日記:『NRIさんのレポートをツマミに一杯』の話

巷では『NRIのレポートはモルスァ...』と言われるNRIのレポートですが、5年後のIT市場予測はこんなもんらしいです。

元ネタ

はい、とりあえずここでは当たらない前提で読みましょう。NRIに限らず、シンクタンクというのは基本的に集めてきた情報を分析し、見せるプロであって、当該領域においては素人に毛が生えた程度、しかもその毛髪量たるや孫正義なみの知識しか持ち合わせていないと考えた方がいいです。
彼らもタダで飯喰うわけではないので、どういう意図でその元情報がきたのかなどを杯でも傾けながら考えるのが楽しい(正しい)レポートの読み方だと私は思います。

そういえば 'Second Life'に関しても去年5月にみずほ銀行がレポートを出していました。思い切り忘れてたんですが、CNet見て思い出しました。

2007年12月に5000万ユーザー、2008年12月には2.4億ユーザー--これはみずほコーポレート銀行が2007年5月に発表したレポートにあるSecond Lifeのユーザー数に関する試算である。しかし実際のところ、2007年12月時点でのユーザー数は1200万ユーザーに満たない。

ここは腹を抱えて笑うところだと思います。しかも5月にレポート出しているところがポイント高いですね。7ヶ月後の予想も大ハズレ。競馬の予想屋の方が遥かに高確率です。
しかもみずほの言い訳が涙を誘います。

この現状についてみずほコーポレート銀行では、(1)PCスペックや操作性、必要なITスキルが比較的高いといった「利用時のハードルの高さ」、(2)オンラインゲームと異なり、サービス自体の目的が存在しないという「利用方法の見いだしにくさ」、(3)仮想通貨換金の安全性や著作権侵害への対応といった「安心・安全性の不十分さ」、(4)ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)をはじめとした「ほかのコミュニケーションサービスとの競合」、(5)「ほかのインターネットメディアとの連携性の不十分さ」--の5点を原因と分析する。これらが重なった結果ユーザーの伸びが鈍化し、それがさらに企業の進出も阻害したのだという。

これらって既に去年年初から明らかだったですよね。もう少しマシな言い訳なかったのかと思います。(1)については民間のPCの買い替えサイクルをガン無視してるし、(2)については逆に「目的を見出す楽しさ」みたいなポジティブな意見の裏返しとして事象は当然見えていた。当時話題になった'Second Life'の小銭稼ぎが「肩たたき」だった点からも当初のいきづまり感はわかりそうなもんである。まぁ、(5)に関しても世の中には開発期間や普及期間というものがあるわけで、開発の為のカネをどこから出すんだという点も踏まえると少なくとも7ヶ月後にこの数字はありえねぇ。つーか、本当にSecond Lifeを5時間でもプレイすれば分りそうなもんだ。

・・・でも、ここで憤慨してはいけませんよ。こういうものなんです。その領域のプロでも難しい予想(いや、ホント難しい)を二次・三次受けである彼らが纏め上げるのが無理ってもんです。しかもタダだし。みずほワルクナーイ。あくまでも「連中は当時はそう思ってた(思わされていた)」という感覚で、「爆笑ネタをありがとう」って感じで受け流すのがオトナってもんですぜボーイ。

最初にも書きましたけど、NRIだろうがみずほだろうがGSだろうがMSだろうが、所詮は情報を集約してるだけなんで、まとめサイトでもを見てる感覚で、それも自分の肌感覚と比較してのんびり眺めるのが良いと思います。

さてNRIの元ネタですけど、これなんか5年後の予想ですから当たる筈がありません。(と、いう姿勢で臨んでみるのも一興です。)「純」のCCレモン割でも飲みながら「ふーん」って感じでみてみましょう。

ネットビジネス市場のうちBtoC(消費者向け電子商取引)の 2007年度末金額規模は4兆9387億円、今後はモバイルが市場拡大を牽引し、2012年度末金額規模は10兆3234億円と予測している。インターネット広告市場は2007年が4737 億円、成長速度は鈍化するものの携帯電話向けの広告が伸び、2012年は7844億円に達する見込み。同様にオンライン決済市場も携帯電話向けの拡大により、2007年度末金額規模の1800億円から2012年度末には3924億円に増加すると予測している。

あぁ、この辺はまだ現実味ありそうですよね。
10兆円市場の5年後市場規模を億円単位で予想している時点で、『どんだけ自信過剰だよ』という感じがしますが、きっとアナリスト(2年目くらい)が適当にでっちあげた数式を使用し、数値丸めもせずに出してしまったのでしょう。
もしかしたら逆に『ざっくり10兆です』とか正直に発表するより『
10兆3234億円です』と発表した方がカコイイとか、そういう判断なのでしょうか。普通、10兆3000億って発表するだろ。まぁ、いいですけど。
5年で2倍強ですから、何か無難な感じがナイスですよね。

ただ、数値が合ってそうかどうかより、問題は理由付けですよね。
『5年で2倍強かどうかはむしろどうでもいい。要は成長するんだな。その成長スピードが加速か減速か。それと伸びしろの予測、そして何はともあれそこに至る理由を説明してみ?ん?』という熊親父的なスタンスでいきましょう。
酒が進みますね。

そういう風に熊親父すると、携帯電話に頼りすぎな感じはしますね。もう少しテレビはじめネット家電との連携に期待できるんじゃないかなぁ、と。
あと、意外にオンラインって値段の張るものが売れる傾向にあるんですよね。僕の友達でもネットで家買った人がいます。そこまで極端ではなくても、ネット市場の内、所謂ぜいたく品というか高価格帯のモノがどんだけ流通しているかを考慮して、今後の景気予測(結局、これが一番難しい)を踏まえた数値ならなおグーですよね。
高価格帯品は景気の浮沈の影響をモロにくらうんで、そこを読み間違えると痛いかも。みずほほど酷くはないでしょうけど。
まぁそんな感じで、何はともあれ牽引してくれる(らしい)携帯電話のコーナーへゴーです。

携帯電話市場は高齢者や子どもの携帯電話保有率の増加、2台目需要などにおり契約開園数が2012年度末には1億1200万回線に達すると予測、しかし1契約あたりの平均利用料の下落が続けば収入は2008年度の7兆2000億円をピークに減少するとしている。モバイルソリューション市場は携帯電話事業者のサービスの充実、端末の進化、システム技術の高度化などにより2007年度末の2323億円から2012年度末には約3倍の 7060億円になる見通し。また、モバイルコンテンツ市場はデータ通信定額料金制の普及などにより2012年度末には2007年度末より約500億円増加の3909億円になるとしている。

で、先ほどの予測で思い切り頼ってた携帯電話ですが、こっち見るとダメじゃん、という話ですよね。保有率の増加って、老人はともかく、子供がバンバン買い物できるかというと疑問です。当然親からすれば携帯に上限の仕掛けを求めるでしょうし。サイフの紐を親が握っている以上、変わらないでしょ。まぁ、何をもって子供と見てるのか分りませんが、もし中高生を指すなら、そもそも伸びしろがあまりなさそうですよね。

あと、2台目買ったから電子商取引が増えるかと言うと、それもあまり関係ない。
そもそも、人間が携帯を見る時間って限られてるじゃないですか。いわゆる隙間時間(電車乗ってる時間とか寝る前の暇つぶし)と言う奴なんですが、ひととおり携帯電話が行き渡った以上、携帯の利用が増えるのって、その生活スタイルの変化なしに頭打ちになると思うんですよね。
2台持っても目的に沿った使い方をするだけで、携帯の利用時間の総和は増えない。だから、携帯電話市場としては可能性があっても、それが電子商取引のトリガとはならない。
ここまでくると、やはり先ほどの電子商取引が「モバイルが市場拡大を牽引」するのは間違いないとしても、5年で2倍強という数値を叩き出せる主エンジン足りえるのか、疑問視してもいいのではないでしょうか。(個人的な肌感覚としては、携帯以外の牽引力により、電子商取引はそのくらいのペースで拡大してもおかしくはない、と感じてますが。)
しかも、同期間でモバイルコンテンツが14.6%の伸びというのも謎。現場感覚的にはむしろこの数字悪くはないと思うのですが、その他の伸び率に比して段違いで鈍い。コンテンツと同時に配信されるはずのネット広告市場が65%増の成長率というのも酒が進むポイントです。
この辺は専門家の意見を伺いたい所ではありますが、コンテンツって、そんな先行して市場が拡大して飽和するもんでしたっけ?

しかも、牽引力たる携帯の市場そのものが利用料の値下げによって2008年度以降縮小フェーズに入ってドキュモのパイが奪われて世間爆笑と言う中で(勿論、この仮定を正しいものと考えて)、はたして(金額ベースといえども)縮小局面にあるプラットフォームに乗っかるモバイルソリューションが5年という期間で3倍も拡大すんのですかねぇ。iPhoneが日本でも発売されればiPhoneで動くアプリ開発とか地道なものは出てくるでしょうけど、モバイルスイカの関西版とか出ても知れてますし、ちょっと強気すぎませんかNRIという声が出てもいいかなーとか思うわけですよ。どっからカネ集めるのでしょうか。まぁ、母数がまだまだ小さいので、4700億増くらいの市場予想は軽く行ってしまうのかも知れませんが。

結局、まぁ、5年後なんて誰にもわからないので、言ったモン勝ちなんでしょうけどね、問題は対象の正確性よりもそこに至るロジック、そして何よりも受け手側のスタンスにあると思ってます。畑が違うならともかく、ITや通信業界の人がこのレポート持ち上げて『当業界はこんなアナリスト予測が出てます(だから将来有望ですよ)』とか言い出すと、眉に唾を塗布した方がいいですよ、と思うわけです。
アナリストよりもよっぽど当該領域に関しては専門知識を持つ筈の経営者が、アナリストの意見を自分の肌感覚より優先してちゃあイケナイよ、ということです。経営者のブログでアナリストのレポート結果を無邪気に喜んでるのを見たり、株主説明会とかで聞いたりして急速に萎える瞬間と言っていいでしょう。

むしろITを代表する経営者とかがこういうレポートをツマミにブログで一杯やって「連中はこう言ってるけど、俺はこう思うぜ」とか言って、コメント大募集の宴会でも開いてくれるといいんですけどね。まぁ、そっとしておきましょう。

あー、何か書いてて自分の首を激しく絞めるような気がしてきました。もうやめます。酔っ払ってるとは言え、イエー。(←意味不明)
では、皆様は引き続きお正月をお楽しみください。

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