有限会社Ayleeds社長日記。継接ぎだらけですが、世界一周旅行もやってます。

プチ社長日記:『ラオスにいったい何があるというんですか?』の話


村上春樹氏が主にAGORA向けに書き溜めた文章を纏めた紀行文集。
AGORAはJALの主にファーストクラス向け雑誌なので、私には縁遠いんですけど、こちらはそのAGORAに掲載していた文章よりも長めのバージョンから成り立っているそうな。

どうしても紀行文と言えば沢木耕太郎氏の『深夜特急』があり、私もかつてこれとほぼ同じルートを旅したのですが、この『ラオスにいったい何があるというんですか?』は(経済的にも余裕のある)大人の視点で、のんびりと且つ、対象に愛情あふれる文章なので、肩の力を抜いて読めるのがいいです。行先も安全な街ですし。
まぁ、ファーストクラスに乗ってる人が、『深夜特急』のように時折ヒッチハイクで旅することはもうないと思うので、そういった人々に向けて書かれる紀行文だとそうなりますわな。
調べた訳ではないですが、書かれた場所はJALが(当時は)定期便を運行しているのでしょう。

読むきっかけは先日ラオスに行っていたく気に入ってしまったからなんですが、作品で取り上げられているのはビエンチャンではなく古都ルアンプラバンです。こちらの街もいつか訪れてみたいところ。

割と淡々と起こったこと、思ったことを書き綴っている本作ですが、未踏の地であれ、既に訪れた場所であれ、氏のいうとおり、「そこには必ず『何か』があります」ということになりますので、そこから話は流れていきます。
逆に言えば、その時にしかないシーンを切り取り、そこを契機として氏の思いが書かれるので、ほぼ全ての紀行文がそうであるように普遍的なものではないです。

当たり前のことですが、やはり旅は自分でしてこそだと思います。

私事ながら、この正月は日本を離れることが出来ませんでしたが、早くアフリカの旅の続きをしたり、その他の未踏国家へ旅したい気持ちは日々高まり、時として持て余すほどです。そういう輩には寧ろこういった紀行文は「好物だけど不要」なのかもしれません。もし、紀行文に(それが無粋なものであると承知の上で)役割を求めるなら、読み手の腰を上げさせることだと言えるでしょう。そういう意味では、本書は(特にご年配の方向けに、)十分な威力を持っており、AGORAの編集方針に一致していると言えます。
そういった意味においても、村上春樹という作家は「求められた仕事」をキチンとこなすという、プロ意識の高い面も窺い知れてファンにとっても楽しめる作品ではないでしょうか。
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