プチ社長日記:『アフリカ陸路縦断#11:キゴマ(タンザニア)〜キガリ(ルワンダ)』の話

■キゴマ〜ブジュンブラ
キゴマを早朝に出発する。
宿の主人にバスターミナルまで送ってもらい、小さなバスに乗り込む。
バスは軽快に走り、タンガニーカ湖のあるキゴマからどんどん高度を上げていく。
気づけば山の稜線を走っている。
ブルンジ、及びその先のルワンダは山が多く、標高の高さから夏でも涼しい。

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1時間ほど走った後、タンザニアを出国し、ブルンジに入国する。
そこでアライバルビザを申請するのだが、またここでトラブルである。

ビザが発行できない、という。

・・・は?理由を教えろ、と食い下がるもどうも要領を得ない。
で、異変を察知した野次馬から聞いたところでは、「紙がないから発行できない」とのこと。
どういうこと?

紙というのは、申請書ではなくて、ビザそのものの紙らしい。
その紙がないから発行できない、ということのようだ。

バスの連中は私をおいて先に出ていってしまった。
ヤバい。国境は山間なので何もない。さっそくバイクタクシーの運転手と交渉してタンザニア国境まで戻る。
事情を話して再入国させてもらい、今度はタクシーの運転手と交渉する。
とにかくキゴマに公館があるから、そこへ行け、ということである。早くしないと公館が閉まってしまう。
通常、ビザ発行の受付は午前中のみだったりする。
はやる気持ちでタクシーにのり、キゴマまで戻る。

【キゴマのブルンジ公館】
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正午過ぎにキゴマの公館に飛び込み、「すみませーん、ビザを発行してください〜」とお願いすると、
ビザは発行できるという。往復で2時間。国境で過ごした時間が1時間だとすると、3時間遅延だ。
タクシー飛ばせばバスに追いつけるかもしれない。

出てきた女性は親切で、ここに記入しろ、あそこに記入しろ、と申請を手伝ってくれる。
ひとしきり記入が終わった後、
「ところで、お願いがあるの。私たちに好意を見せてほしいわ」と言ってきた。

「好意って?」と聞き返すと同時に、賄賂を要求しているのがわかった。
ビザの発行は彼女の裁量次第だということは想像できたので、ここで断固拒否すると今日のビザ発行は絶望的だ。
さすがにこれ以上の遅延は連休中に帰国できない。
地獄の沙汰も金次第、ということか。

釈然としないまでもビザ代込みで30ドルを掴ませる(何となく50ドルを匂わせていたが)と、あっという間にビザは発行された。
ブルンジ人がタンザニアのキゴマで生活できてるだけで優遇されているとは思うのだが、
人間の欲の深さに限りはないらしい。

元来た道を取って返し、タンザニア国境を越え、そこからバイクタクシーに更に乗り換え、ブルンジ国境に到着。
問題なく越境。ただ、越境しても山間である。幸い、ブルンジ側もタクシーが何台か停まっていたので交渉し、
ブルンジの首都ブジュンブラへ向かう。(30ドル)

【独国系植民地と英国系植民地では車線が違う】
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ブルンジは近隣では最も貧しい国と言える。
ルワンダとほぼ時を同じくして内戦状態になったが、いまだに貧困に苦しんでいるのはその後の政治の巧拙によるところが大きい。
ブルンジ領内では集落ごとに私設検問のようなものがある。
ここで通行量を巻き上げようというのか、それとも減速した車にものを売りつけようとするのか?
私にはわからなかったが、タクシーは免除されているのか、お咎めは何もなかった。

集落を通過する途中、道のど真ん中で泡吹いて仰向けに倒れている女性がいた。
「クスリだな」と運転手が言っていたが、入国したとたんにヤバい香りがして気を引き締める。

タクシーは山間を抜けて、再びタンガニーカ湖沿いに走る。
湖畔を北上するのだが、ここも先日の雨で道がぬかるんでおり、スピードが出せない。
不幸中の幸いだが、バスではなくてタクシーで正解だった思う。
結構、水に浸かりながらもタクシーはどんどん北上する。
途中で割にあわないと思い出したのか、運転手が本当に30ドルくれるのかと心配そうに聞いてきたが、
キチンと送ってくれれば問題ないと励ます。

【こんな道ばっかり。。。】
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休憩もなくひたすら運転手が先を急ぐのだが、湖畔から離れた集落で運転手を誘って休憩する。
ジュースを振る舞い、タバコでご機嫌になったのか、運転手もすっかり安心した様子。

【ブルンジの集落】
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暗くなるまでにブジュンブラに着きたいのは彼も同じ思いのようで、休憩後も再び彼はタクシーをとばす。
バナナ農園が広がり、ところどころに集落があるのだが、何か選挙活動のような集会がそこかしこで開かれていた。
不要に絡まれてもつまらないので、こういうのには近寄らないのが吉だ。

さて、夕方ごろにブジュンブラに到着した。帰宅ラッシュなのか、車が行きかうも、何となく統制の取れた感じがしないのは気のせいか。
ブジュンブラの治安は悪いと見たのと、この町は絶望的に観光資源がないので、近辺を散策するだけにとどめ、
まずはバスターミナルに向かってルワンダ行きの便を探す。

先達の情報によると、 YAHOO バスがよいとのこと(無論、ポータルの YAHOO!とは無関係)であるが、
どうも最近はネガティブな評価が多い。
数年前にはゲリラに襲撃されたそうな。
治安がよくないので朝発の便のチケットをとる。ブースの兄ちゃんによると、明日の朝に宿まで迎えに来てくれるらしい。
お、そりゃ助かるな、と喜び宿に転がり込む。
いい部屋が無かったとかで、1階の暗い部屋だったが、ロビーでビール飲んで人心地である。


■ブジュンブラ〜キガリ
ちょっと寝坊してしまったが、迎えは指定の時間にやってきた。

ビザトラブルがあったものの、何とか1日の内にブジュンブラまで移動できたので、
今晩、ルワンダの首都キガリまで到達できれば明日の便に間に合いそうだ。
ルワンダは近辺で最も治安が良く、インフラも整備されているというし、勝負はブルンジ側を越境できるかに掛かっている模様。
イエローカードも所持している(2019年現在、ルワンダ入国に黄熱病予防接種済を示すイエロー・カードは不要になったとのこと。
ただし、入国予定の方は最新の情報を確認されたし。)ので、問題はないだろう。

車には既に他の乗客が一人のっている。
更に付近を走り、おばちゃんが1人乗ってきた。
さて、いよいよバスターミナルに向かうのかな、と思っていたが、タクシーはブジュンブラ郊外に出て、そのまま北上してします。
あれ、どうやらバスではなくて普通の乗用車で向かうようだ。
この時点からちょっと嫌な予感はしていたが、せんなき事なので、周りの景色を見やる。

【ブジュンブラ街並み】
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入国用のビザでいきなり賄賂を要求され、道はぬかるみ、またところどころに豪快で土砂崩れが起きていることから、ブルンジというのはなかなか旅行者にタフな国だというイメージである。
ただし、土砂崩れはあっても、対向車がいるということは、通れるということだ。
しかも、土砂崩れのポイント前には、竹のような食物がわざと折られて置かれており、突如突っ込むという事はない。
※「地球の歩き方」にもブルンジの記載は一切ない。

【コバンザメ走法】
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ルワンダも山が多く、首都キガリも「千の丘の街」と言われるくらいなので標高は高い。
いきおい、登り路が多くなるのだが、トラックやバスにどう見ても過積載の自転車が複数台取り付いて山道を登るさまは見ていて飽きない。
なんだろう、みんな逞しく生きている感があって、自分がもしこの国に生まれていたらどんな気分だったろうと想像に掻き立てられるほどに、ワイルドな雰囲気である。
それでも走っている乗用車の中は安全だ。景色を楽しみつつも、国境にさしかかる。順調、順調。

【国境】
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余裕をかましていたのだが、またしてもここで問題が。
私の方はアライバル・ビザも取得し、車が越境してくるのを待っていたのであるが、いつまでたっても来ない。
そのうち、また雨も降りだした。
さっきまで同乗していたおばちゃんは、業を煮やしたのかルワンダ側の相乗りタクシー運転手と交渉を纏めてしまった。
事情を聴くと、どうもYAHOO!バスが警察にとっつかまって越境を諦め、ブジュンブラに戻っていったとのこと。
どうもこの運行会社、警察に目をつけられており、それ故に破格の値段だった模様。おいおい。

おばちゃんが交渉していた乗合タクシーはおばちゃんで満席となってしまったので、別の相乗りタクシーを探す。
不幸中の幸い、美人のお姉さん2人と同乗することになった。
雨の中で出発を待つ間、なんやかやとこの2人と話しており、お菓子をくれたりなどする。
睡眠薬強盗かと、警戒しつつも、彼女らのルワンダ事情の話を拝聴する。なかなか流暢な英語で、身に着けているものからも相応裕福な家のようだ。
さて、ルワンダに入ってしまえば、予想していたとおり事態はスムーズに進んだ。
国力の差が如実にでるのだが、ブルンジに比較して道路はキレイに舗装されており、ところどころに土砂崩れはあったものの、
付近の住人が復旧作業に当たっていた。雨の中で作業をしても二次災害になるのではとこちらが心配していたが、
彼らのおかげで順調にキガリに向かえている訳だから、頭の下がる思いである。

【ルワンダの子供たち】
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思えば、アフリカは割と金に汚くない。
たとえ貧しい国であっても(国連難民高等弁務官事務所の施設などもあった)、割と決めた値段で仕事をしてくれる(YAHOO!バス除く)。
このドライバーも確り仕事をしてくれたので助かった。

【難民キャンプ】
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途中、コーヒーで有名なフィエを通過する。コーヒー農園で豆を乾燥させている景色が見えた(雨はあがっていた)。
そうこうする内に、首都キガリに到着する。

【虐殺記念館からキガリ中央部を眺める】
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日も暮れてしまったので、虐殺記念館以外の観光は諦めた。ただ、キガリの宿だけは前から決めており、そこが観光地の一つになっている。
宿の名前は「ホテル・ミル・コリンズ」。
映画「ホテル・ルワンダ」の舞台だ。

■キガリ#1
ホテルにて明日の飛行場までのタクシー事情を確認し、とりあえず明日の飛行機に乗ることはできそうだと、ようやく安堵する。
思えば前半に先を急いでいなかったら、悪路での立ち往生やブルンジビザのトラブル、
及びルワンダ国境でのトラブルに対応する時間がとれていなかった可能性が高い。
そのトラブルも、それぞれバスの運転手の英断や、たまたまタクシーがいい塩梅に捕まったという幸運により対応できたと思う。
アフリカ大陸という不確定要素が多い土地を旅するには、一も二にも余裕ある旅程が必要と痛感する。まぁ、仕事しているとそうもいかないのであるが。

さて、宿泊した「ホテル・ミル・コリンズ」であるが、実際には映画のような美談ではなかったことを付け加えておく。
【ミル・コリンズ】
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