プチ社長日記:『アフリカ縦断#10:タンザニア〜ブルンジ◆戮力

とにかく、タンザニア内はひたすらバスである。目指すはキゴマ。
コンゴ紛争の時は難民が押し寄せ、キゴマキャンプは悪い意味で有名であったが、
今は落ち着いてタンガニーカ湖畔のちょっとしたリゾートらしい。
私は仕事の為に、週に1〜2日は中級以上のホテルに泊まることにしている。
キゴマでシャワー浴びて、のんびりして、酒にありつくぜ!と一人ご満悦である。

朝の5時に出たのだ、さすがに今日中には着くだろう。

・・・着きませんでした。

ハイハイ、ここ終点だから、とバスから降ろされた場所は、ムパンダという場所らしい。

え、どこですか?それ。
「いやいや、俺、キゴマ行きの切符持ってるから!」と申し立てると、
「あ、乗り換えなんだよ。そのバス出るの明日だけど」

ええええ。

まだ夕方っすよ。頑張れば今日中にいけるっしょ。
諦めの悪い私は、というか、「さすがにこのままだとゴールデンウィーク明けに出社できなくてヤバい」と
考え出した私は、ムパンダのバスターミナル内を走り回り、「キゴマ行き」のミニバスをしつこく探し回るが、
どこにも、ない。

まじかよ・・・。
いやー、特に観光する場所もないし、暗くなってきて出歩くのもちょっと危険なので、
もう早々に諦めてターミナル傍のドーミトリーに転がり込んで不貞寝を決め込む。


■キゴマへ
服のまま寝てたので、まだ夜明け前に起きてそのまま隣のバスターミナルに行き、ビスケットや水やらを買い込みシートに陣取る。

【ムパンダ バスターミナル】
DSC_5428.JPG

早朝のルサカを友人と別れ早朝に立って以来、2泊3日はただひたすらバスに乗る日々である。
まぁ、ルサカ〜ダルエスサラームが40時間と聞いていたので、ある程度覚悟はしていたがほぼ3日かかるとは思わなかった。
ゴールデンウィーク明けに会社の同僚やお客さんに「オマエ、休みの間は何やってたの?」と聞かれれば、
僕は間違いなく「バスに乗ってました」と答えるだろう。
そう、僕はアフリカまでバスに乗りに来たのだと自分に言い聞かせ、旅を続ける。

昨日、夕方でムパンダで足止めを喰らい、キゴマ行きのバスが終わってしまっていて悔しい思いをしていたのだが、
走り出して30分で理由が判明した。

滅茶苦茶、悪路なのである。
今まで、チベット山岳地帯やインド・ネパール国境他で悪路は経験してたが、ちょっとこのレベル初体験ゾーンである。というのも、両者とも四駆で重装備だったのだが、こっちはサスペンションもフワフワのオンボロバスなのだ。

【無理ゲー感溢れる悪路】
DSC_5438.JPG

バスの天井にしたたか頭を打ち、呻き声がそこそこで聞こえる。
私も半端なく頭痛い、帽子かぶっても無駄である。もう、しょっちゅうケツが浮いて無重力を味わえるのである。
ヤバい。このインターステラー感ヤバい。もはやドリフの世界。これ、日本ならゲロまみれになりそうな地獄絵図であるが、さすがに現地人、誰も吐かない。
くも膜下出血とか普通になりそうなので、間違っても後部に陣取ってはいけない。運転席後ろを激しく推奨である。
・・・って、こんなところに書いても「おぉ、貴重な情報ありがとう」なんて思う人は絶無だと思うが。


無論、バスはスピードを出しまくってる訳ではない、寧ろ逆である、中国の支援(?)で道路を舗装しようとしてる
箇所もあるが、基本はぬかるんでいるので、ママチャリで走った方が早いレベルである。
途中、バスが停車した。
で、みんなバスを降りてゾロゾロと前の方へ歩いていく。
もはや少々のことでは驚くことのなくなった私は「え?なになに?何がおこったの?」と周囲に聞きまわる気力も失せ、羊の様に黙ってついていく。
渋滞というほどではないが、何台かトラックが止まっている。
その先頭の車両を見て、判然とした。

思いっきりタイヤとられとるやーん♪
DSC_5439.JPG
あぁ、これアカンやつや。
ワイらのバスも、こうなってしまったら半日は棒に振るだろう。

午前中に、キゴマに着けるだろう。

悪路だけど、明るい内に着けるだろう。

今日中にキゴマに着けるのかな。。。

まだ朝だというのに、既に僕のテンションは2段階ダウンしていた。
車列の後方にいた同じ会社のトラックが、荷台を外して救助に向かう模様。
が、そいつも一筋縄でいかず、なかなか進めない。

同じバスの乗客は周囲に散り散りになって様子を見守っている。
・・・1時間は過ぎた。

すると遠くから轟音が聞こえてきた。
ドンドン近づいてい来る。
あぁ、なんと!僕らの乗っていたバスである。

運転手、イチかバチかの勝負に出たのか、ハイスピードで突っ込んでくる、そして、ぬかるんで動けなくなった
トラックの脇を突き抜け、窪地から飛び出してきた。ちょっとしたジャンプをして、車輪こそ浮かなかったものの、
僕は窓ガラスが粉々に割れるのではないかと心配したくらい、激しいが見事な突破だった!!!!

今思えば、あれがタンザニアのハイライトの瞬間である。
運転手ブラボー!!フォエバー運転手!!
バスの乗客も狂気乱舞である。(動画撮れなかったのが悔やまれる)

が、ここからがいけない、運転手興奮してるのか、バスを停めない。
停まったら死ぬ、という間寛平師匠の境地なのだろうか。確かに停まったらぬかるみに取られそうであるが。

僕は走った。
そして、徐行しているバスに取り付き、何とか車内に入る。ほかの乗客もどんどん乗ってくる。

この難所を抜けると、対向している車列が同じように溜まっていた。
思えば、この難所に来るまで、対向車と出くわしていなかった。
田舎なので、そんなもんだろうと思っていたが、ここが原因だったようだ。

対向車列が存在する、ということは、「キゴマから、ここまでは来れる」ということだ。
つまり、ここ以上の難所はもう無いだろう、この瞬間、僕は勝利を確信した。
勝利といっても、「今日中に目的地に着けます」という、ただそれだけなのだが。

日が昇り、道路が乾いてくるのも手伝ってか、車内の揺れのピークは過ぎた。
途中の休憩所では絞めたての鶏BBQにありつく。残酷なシーンを見ても、腹は減るのである。

【レストラン?】
DSC_5458.JPG
DSC_5453.JPG

結果、まだ明るい内に、キゴマのバスターミナルについた。大きくて、割とすっきりしている。
キゴマであるが、バスターミナルが街の中心からめちゃ遠い。
バイクタクシーがいろいろ集まってくるので、交渉して街まで連れて行ってもらう。
ちょっと聞いていた相場より高めだったが、街中にあるキゴマからのバスチケット販売のブースまで連れて行ってくれたり、なかなか気のいいあんちゃんであった。次の場所への移動手段の確保は、非常に重要である。

街並みというと、下方にタンガニーカ湖が見える。
めちゃくちゃ大きくて、もはや海である。
因みにタンガニーカ湖はアフリカの大地溝帯によりできたものであり、気の遠くなるような未来、このアフリカの大地はここから完全に裂け、ここは海になるという。
ちょっとスケールがデカすぎてよくわからない話のようだが、実際にこの巨大な湖を目の当たりにすると、「なるほどなー」と思える迫力である。

キゴマは貨物だけだが鉄道駅が備わり、建物の佇まいが美しい。
おそらく且つては旅客用にも使われていたのだろう。安価且つ頻発のバスにその座を奪われるのは海外ではよくあること。
この鉄路はあのエッフェルが設計したモザンビークのマプト駅にも繋がっている(はず)である。
駅の後ろはタンガニーカ湖になっているが、湖に向かって左手の方に高級ホテルがあり、そこのレイクサイド・バーが観光客に人気らしい。
白人もいる。ザンビアのルサカからここまで、一人として白人を見たことはなかったが、さすがリゾート地である。

【キゴマ駅(貨物のみ)】
DSC_5477.JPG

宿に荷物をおいて、先ほど触れた高級ホテルのレイクサイド・バーで久しぶりの酒にありつく。
至福。
盃を重ね、タンガニーカ湖の向こう側、遥かコンゴにに夕日が沈むのを眺める。
・・・美しい。何て美しいんだ。
体中から疲れが抜けていくのがわかる。
あぁ、俺はこれを見るためにここに来たのだな、と卒然として理解する。

【落日のタンガニーカ湖】
DSC_5497.JPG
とっぷり暗くなるまでバーで過ごし、酩酊してしまった。
ちょっと不用心だな、と思いつつも、タクシーを待っていると金持ち風の白人が同乗させてやるという。
ありがたく乗せてもらい、自分の分は払うと申し出るも固辞される。
私、海外でも驕り負けている気がする。日本で外国人みたら優しくしよう、と思いを新たにする。

宿泊先はリーダーズ・ロッジという宿。かつて国の指導者達がキゴマで過ごした宿である。
快適であり、宿の主人が何くれなく世話してくれて、夜も一緒にコーヒーを飲んで過ごす。

いよいよ明日は、今回の最終目的地、ルワンダのキガリへ向かうこととなる。
コメント