プチ社長日記:『最近読んだ本など』の話

『光のない海』
熱海の温泉宿で一人、朝方まで読むほど「読ませる」内容の一冊。
白石一文氏らしい、運命に弄ばれ苦しむ人々を通じて、孤独について掘り下げていく内容が素晴らしい。
山本周五郎賞受賞作『この胸に深々と突き刺さる矢を抜け』と同様、孤独を埋めるが為に過ちの関係を持つ男女を描写し、必死に他者との繋がりのありようを模索し、空虚の先へ進もうとする気迫の作品である。

『みんなちがって、みんなダメ』
カリフ主義復活を奉ずる中田考氏の一冊。
「イスラームとは何か」というイスラームの説明本は世に多いが、「イスラーム的視点で、今の領域国家支配の現代を解釈するとどうなるか」という視点が中心となった作品は寡聞にして知らず、それ故に極めて面白く読ませていただいた。
思えば、私の少年時代などはイスラームというのは遠い世界の話の様に捉えられていたが、21世紀が「アフリカの世紀」ならば、今後もイスラームの勢力は増大の一途となることは間違いないと言えるだろう。
従い、当該視座を踏まえることは重要であることは間違いない。
無論、多神教を是とする大部分の日本人にとって、一神教的な価値観に抵抗はあろう。
実は私もその一人だ。

「母も篤子も、京介も美千代も、淳子も宇崎も、そして私自身も、あと数十年もすれば、そういう人間が存在していたことでさえ定かではなくなってしまう。歴史上に名前を刻むことのできた者以外のすべての人間が、いずれは存在の有無さえ確認不可能な黒々とした闇の中へと飲み込まれてしまうのだ」(「光のない海」)


『みんなちがって、みんなダメ』の視座によると、これは何も悲しむべきことではなく、「当然のこと」ということで平然と受け容れられる。ここまで達観することは、正直、私には難しい。(それは私が『バカ』だからだろう)

それができない私のような者は、どうしても「一瞬の光」のようなものを求めて生きていくのだと思う。それで絶望することはあっても、最後にはこの価値観を受け容れざるをえない時が来ると思う。
たとえ回り道であっても、私も「存在の有無さえ確認不可能な黒々とした闇の中へと飲み込まれてしまう」を喜んで受け容れられる日が、いつか来ますように。






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