プチ社長日記:『アルツァフ共和国(ナゴルノ・カラバフ) 2018年』の話

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2018年2月3日に日本を出国し、3月20日に無事帰国しました。
今回の出張(旅)の目的は、陸路でイスタンブール〜カラチを見て回ることだったので、
当初は単純にトルコ⇒イラン⇒パキスタンを軸に想定していたのですが、
それを発展させる形で、イスタンブールに着く前にUAE、エジプト、チュニジア、レバノンの4ヵ国の状況を見て回り、イスタンブールに着いてからトルコ⇒グルジア⇒アルメニア⇒イラン⇒パキスタンに変更しました。
因みに、アルメニアは2017年に日本人はビザが不要になっています。
(付け加えると、レバノンも不要です。)

人間、欲が出るもので、ここまでくるとコーカサス3国の内、アゼルバイジャンを経由できないのが気になってきます。
だが、アゼルバイジャンはアンカラでのビザ申請時に週末挟んで5日かかるとのことであったので見送りました。
それでも、アゼルバイジャンと引き換えに行ける素敵な場所があります。

その名は『アルツァフ共和国』。
貴方の地図には載っていない筈です。
安心してください。私の地図にも載っていません。

2017年の『憲法改正』で呼称を『アルツァフ共和国』に統一しましたが、ナゴルノ・カラバフと言った方が今でも通りがよく、そう言った時点で「あぁ、あそこね」と気づく方も多いと思います。

平たく言うと、私が以前に出張訪問した『沿ドニエストル共和国』と同じ、未承認国家ですね。
地図で言うとこの辺りです。

【アルツァフ共和国の場所】


『アブハジア』がロシアに承認されたのに比べ、『アルツァフ共和国』は『沿ドニエストル共和国』と『アブハジア』でお互いに承認しあっているものの、その他の国からはガン無視されています。

・・・素晴らしい。この仲間内で胴上げしあいっこして大気圏突破を狙う気概が天晴れで、思わず胸が熱くなります。
因みに『独立』に至った経緯ですが、元々ここはアルメニア教会のキリスト教徒が多い地域であったものを、イスラム教圏のアゼルバイジャンに吸収された(もともとは自治共和国だった)のがそもそものマチガイ。
まぁ、間違えたのはソ連なんですけどね。(アルメニアにするかアゼルバイジャンにするかで翻弄されてた模様。)

国旗をみていただければ解るとおり、アルメニア教会のキリスト教徒がアルメニアへの帰属を訴えてアゼルバイジャンから『独立』を宣言したのが『アルツァフ共和国』。
で、『独立』に当たってはもともと当該領域に住んでいたムスリム(アゼリー人)を追い出している為、アゼリー人は難民となってしまいました。何しとんじゃコラ。
【アルメニア国旗】
Armenia.svg.png
【アルツァフ国旗】
Artsakh.svg.png
・・・これ以上の詳しい説明はウィキペディアに譲りますが、結果、アルメニアとアゼルバイジャンは鋭く対立しています。が、流石に全面戦争に突入するのは避けたいのか、アルメニア自体は『アルツァフ共和国』を承認していません。
・・・とは言うものの、軍隊も駐留していますし、まぁ、アルメニアの一部(自治共和国)として事実上の『独立』状態にある地域です。

因みに、アルメニアには夜行列車で入国したのですが、入国検査官に
「アゼルバイジャンには行ったのかね?」と聞かれました。
「行ってません。行くと何か問題あるんですか?」と聞くと「いや、問題はないよ。」とのことでした。
後になって先達のブログで見たのですが、お互い対立している以上、アゼルバイジャンもアルメニアも旅行者の感想などを気にしている様です。
(そう言えば、パキスタン/インドでも同様の事象が発生してました。)

【ジョージア(グルジア)〜アルメニア国際列車】
train.JPG

さて、『アルツァフ共和国』への『ビザ』の取得ですが、参考にしたのはこの先達によるブログです。
私の場合で情報を更新すると(2018年2月)、
  悒咼供抓慙△亮耕骸爾2階から1階に移動
 ¬曚辰討い襪函悒咼供戮貼られ、スタンプも押印される
です。
△蓮結構重要で、これをされると当該パスポートではアゼルバイジャンには入国できません。
私のパスポートは既に9年目に突入したので特に問題ない(間もなく更新)ですが、
アゼルバイジャンに渡航を希望される方は気を付けてください。
今までは「別紙で貰ってスタンプ押印もなし」、と聞いてましたが、ここは変更になってるかも知れませんのでご注意を。先にアゼルバイジャンに行った方がいいかもです。
尚、申請用紙には写真を貼り付ける箇所がありますが、持参しなくて大丈夫です。その場で撮影してくれます。
一般的な内容の他は、領域内での訪問先を記載するくらいです。

【エレバンのカスケード広場。奥にある奇怪なマンションの傍に領事館がある。】
erewan00.jpeg.jpg
【『アルツァフ共和国領事館』】
erewan2.JPG
【『アルツァフ共和国ビザ』】
visa2.JPG

因みにですが、『アルツァフ共和国』には『ズアラ』という温泉が湧いている場所があるのですが、
2月のせいか、やんわりと「やめた方が良い」というアドバイスを貰いました。(もともとぬるいそうです。)
温泉好きの私としては、ガン無視で行こうかとも思いましたが、日程的にも見送りました。

さて、行き方ですが、アルメニアの首都エレバンにあるキリキア・ターミナルから乗合いバスに乗ります。

【キリキア・ターミナル】
erewan0.JPG


朝9時半くらいにバスターミナルに到着し、私で丁度一杯になったのか9時40分に出発。
基本的にはアルメニア領内を走り、途中、休憩を挟みながらも『国境』を15時前に通過。
ここからはアゼルバイジャン領内となり、ゴリス経由で『アルツァフ共和国』の『首都』である『ステパナケルト』に到着します。
16時位には着いたかと思います。

道中は季節柄、雪山の眺めが美しく、見ごたえがあります。
エレバンを出てしばらくは南下するので、右側の座席に座っていると(運が良ければ)アララト山を遥拝することができます。
ノアの方舟伝説の山ですが、なるほどの貫禄でした。
(バスでイランに向かう方も、途中までの道程は同じです。)

【飛ばす運転手】
erewan3.JPG
【ゴリスの街】
goris.JPG

尚、『国境』の旗ですが、よくよく見るとアルメニアの旗に白いテープか布を貼り付けているだけで草生えます。
そこは手を抜いたらアカンやろ。

【テープ疑惑】
nagoruno1.JPG

宿は安宿街の方で適当に探して取りましたが、旅行者の間で有名な「ノープロブレムおやじ」(※)には結局遭遇できませんでした。残念。

街自体はそんなに大きくないので、主要どころは歩いて見てまわれます。
『アルツァフ共和国』イチオシの「我らの山」は皆が行くところです。
北海道土産の巨大版みたいな、見た目アレですが、夜はライトアップもされます。

【我らの山】
nagorno3.JPG

こちらへはバスターミナルからメインストリートを南方へ進むのですが、
逆に北方へ進むと『官庁街』に出ます。
未承認国家の運営に興味がある方は、この辺の方が寧ろ散策してて楽しいかと思います。

勿論、警察は機能しており、広場に常にパトカーが停車し、夜には不審車を取り調べている光景にも出くわしました。
物価はアルメニアより気持ち高い程度ですが、それでも安いので、居心地は良いです。

【ステパナケルト中心街】
nagoruno3.JPG

街の外れには夜にも輝き続ける大きな十字架があり、ここがアルメニア教会の街だという主張をしています。

【アルメニア教会の街】

nagoruno4.JPG

一方で、モスクは荒廃しており、追い出されたムスリムのアゼリー人を思うと胸が痛みますが、このような場所はパルチザン自治区はじめ、他にもたくさんあります。
あまり第三者が介入して改善に向かうとも思えない問題なのですが、それぞれの妥協点が早く見つかれば良いなと思います。


※ノープロブレムおやじ:基本的に何が起こっても「ノープロブレム」と答える、旅行者に愛される宿屋の経営者。

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