プチ社長日記:『君たちはどう生きるか』の話

何故か最近、よく本書を書店で目にする。どうも漫画版が売れているようで、時代を通じて価値を持つ「古典」に属する本書がどんな形態にせよ、若い人に馴染み深くなることは大変良いことに思える。

とは言え、小説を読むことの醍醐味の一つとして、文中から立ち上がる自分のイメージを愉しむことを重視する私としては、いい大人が敢えて他者のイメージを押し付けられるのを良しとしない。
無論、映画の類も好きなのだが、文章として存在するものは文章として読み、自分の理解に沿って楽しみたいのである。

本書は吉野源三郎氏の代表作であり、初版に近い形で出版されている。
当時の時代描写も細かく、その内容も相まって、傑作であることは間違いない。

実は私は、今回本書を読むのは初めてではなく、最初は小学館の文集に収録されてものであった。少年だった私は説教臭い内容と受取り、また知識としては知っていることが多かったので読むのが苦痛であり、挫折してしまった。
その後、岩波版で読み直し、これが今回、再読した形になる。
自分も既に叔父さんより年上となっているが、大人になって初めて、本書の良さを理解できたのは間違いない。
ものの見方、社会学的認識のすばらしさは勿論、コペル君への教え方も含め、蒙を啓かれる思いである。
年末のこの時期に振り返るには最適な書と思う。

尚、本書には丸山真男氏の解説がついているのもお勧めする所以である。
コメント