<< November 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
<< プチ社長日記:『次の廃語辞典の最有力候補:ニッキィ』の話 | main | プチ社長日記:『あちゃー』の話 >>

プチ社長日記:『ダイアログ・イン・ザ・ダーク』の話


前々から高評価を耳にしていたので、先日、UA-Linksの廣岡社長と一緒に行ってきた。

ダイアログ・イン・ザ・ダークとは、「完全に光を遮断した空間の中へ、グループを組んで入り、暗闇のエキスパートであるアテンド(視覚障害者)のサポートのもと、中を探検し、様々なシーンを体験するソーシャル・エンターテイメント」というものである。

【ダイアログ・イン・ザ・ダークのサイト】
【同ビジネスワークショップ】
気になったのは、エンターテイメントと銘打つ割には、グーグル・トヨタなどの名だたる企業が研修・商品開発に利用している点だ。

商品開発に利用、というのは、視覚障害者を有する方へのマーケティングという意味で理解できるが、研修となるとちょっと想像がつきにくいので、これは体験せねば、と思っていたのである。

*****
研修、評価、或は採用といった対人間の領域(人事)においては、巷にはいろんな書籍があふれているが、感情的な議論ばかりが先行し、実は有効な手立てというのは少ない、というのが実情だと思っている。

以前、統計家の西内啓氏が「研修に関してはランダム化比較実験が実施しやすい領域であるが、あまり実施されていない」という旨の指摘をされていた。
単純に言うと、社員から2つのグループをランダムに抽出し、「○○トレーニング」というものを受講したグループと、同じ時間だけ別なこと(野球など)をしていたグループで、その後の評価指標(営業成績など)からそのトレーニングの有効性を判断するといった試みだ。

プログラミングといった技術的なものであるならば、前後でテストを実施しても良いだろう。そう言ったものはトレーニングの評価をしやすい。
だが、モチベーションや管理スキルといった領域においては、そのトレーニングが本当に(コストに見合うだけ)有効かどうかは評価が難しく、悩みどころである。
高い研修料を企業が負担するより、みんなで野球やってる方が、チームビルディング的には良くて営業成績が上昇するという結果がでてもおかしくない。

特にモチベーションや管理スキルといった項目は、評価指標が設定しにくいし、「モチベーションが高い人間が営業成績が高い」といった効果指標としての前提が正しいかどうかも確認する必要がある。無能なのに無駄にモチベーションが高くて、いろいろ引き受ける割には成果が惨憺たるものばかりであったりする社員をどう扱うか、またそのような社員ほど会社にしがみつく傾向が高くて整理しづらい、といったデメリットがある可能性なども確認する必要があるからだ。
またターゲットとする「モチベーションの高さ」も、ある程度確認・設定しておく必要もあるだろう。企業にとって必要な社員のモチベーションというものが、「全員、松岡修造レベル」なのか「とりあえず鬱病とかで会社休まないレベル」なのかでは有効なアプローチが異なる可能性もある。
以上のことを考えただけでも、有効な研修(人材育成)と評価というのを考えるのが難しいのは当然だ。

それ故に、多くの企業で英語能力を評価として重視するのは、「その英語をビジネスに活かそう」というより、単純に英語研修を粛々とこなし高スコアをとる人間の営業成績が良いということに有意の関係が認められるからに過ぎない。

採用ということに至っては、さらに有効な手立てがなく、結局、上記の理由から英語やSPIで採用するのが一番コストをかけずに手堅かったりするのである。
マッキンゼーだろうがボスコンであろうが、採用に厳しいと言われているところでも「必ず5%以上は不適格な人間が交ざる」(某人事担当者談)ということは個人の感覚レベルでも指摘されているところである。

*****

ダイアログ・イン・ザ・ダークの話に戻るが、「研修として有効か否か」の結論としては、残念ながら個人として受けた今回のプログラムに関する限り「よくわからない」(評価できない)と言ったものである。文字通りエンターテイメントという表現が正しいように思う。研修用プログラムではないのでここは当然なのだと思うが。

ただ、個人の気付きとしては以下のものがある。
※できれば参加して体験することをお勧めする。

^徹任離好肇譽垢六廚辰燭曚病腓くない
⇒自分だけが暗闇に取り残されると強烈なストレスに感じるのだろうが、グループ全員が同じ境遇にいると、(最初はともかく)あまりストレスに感じない。動き回るときは足下が気になるが、立ち止まったり座ったりするときは、寧ろ心地いいくらいである。
こういう小さなストレスを克服していくのを積み重ねるのが、ストレス耐性強化への早道だったりするので、この点は研修と言う意味では良いかもしれない。

他の感覚が鋭くなる(気がする)
⇒聴覚・触覚に頼るところ大であるので、当然意識はそちらに集中する。
真っ暗闇でお金をやりとりするシチュエーションがあるのだが、普段は意識しない紙幣の視覚障害者用の凸凹に集中する事になり、結果、何円札かが解るようになるのはちょっとした驚きだ。
また、飲食を伴うシチュエーションでは嗅覚・味覚も刺激される。この辺りはプログラムが上手く組まれていると感心する。飲食や家具などのデザインと言った職業では、こういう感覚を磨くことは大事かもしれない。ただし、結局は「見た目がイチバン大事だね」という検証結果となる可能性があるので、研修と言う意味ではこの効用をどう評価すべきなのかは、何ともいえない。

チームビルディングによい(かも)
⇒完全な暗闇の中をグループで行動するので、適時自分の状況を声に出して伝えなどする。結果、他人同士でも会話がなされる。また、後続のグループでは「電車ゴッコ」スタイルで進行していたのだが(全く見えないのだが、そういう会話は聞こえた)、これは触覚重視スタイルと言えようか。いずれにせよ、何らかの方法で自分の存在をアピールすることになるが、これが通常と違って(良い発言してやろう的な)ワザとらしくなく純粋に必要性に迫られる点が、寧ろハードルが低くて良いと感じた。
進行自体も、ガイド役のアテンド(視覚障害者)から出される、ちょっとした課題をクリアしていく形式となっているので、所謂ワークショップスタイル研修と同じ効果は期待できそうである。

上記の ↓だけでも何らかの有意性が認められているのならば、なるほど大企業が利用するのはむべなるかな、と言うのが感想だ。
体験としては面白かったので、一度参加されることをお勧めする。

尚、月並みな感想であるが、やはりアテンド(視覚障害者)の方々の暗闇での卓越した空間把握能力には驚かされる。
普通に会話しているだけなのに現在のグループの陣形などが解る。アテンド以外の協力スタッフ(同じく視覚障害者)も暗闇で普通にお茶とか淹れてくれるのだが、あまりにも手際が良いので、実は赤外線暗視装置でも付けてるのではと疑うほどである。いや、ホントに。





仕事の朝 | permalink | comments(0) | -

この記事に対するコメント

コメントする









| このwebを『はてな』ブックマーク |




+ ARCHIVES +