プチ社長日記:『湯屋にて思い出すことなど』の話

日曜の朝だというのに7時に起き、宿で朝食を済ませて竹瓦温泉へ湯あみに行く。
ここは大分県、別府である。
朝6時から開いているこの湯屋は、東京の銭湯の1/4の価格である100円で入浴できる。
この時間でも数人の客がいる。おそらく地元の方であろう。
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【竹瓦温泉】

古い湯屋にはよくあるが、脱衣場と浴室に壁などなく、それどころか窓さえ全開であり、普通に表の通りから着替えてるところが丸見えである(男性のみ)。
そんなおおらかさが、却って心地よい。

服を脱ぎながら浴室の方を見遣る私に、地元の老人がいろいろ話しかけてくれる。
湯船のどの辺が熱くて、どの辺が比較的ぬるくて入りやすいか、といったことまで教えてくれる。
いきなり地元の方の親切さに触れ、それまでは貴重品が盗まれないか心配して、鍵付きロッカーの利用を考えていたのが、何だか馬鹿馬鹿しくなってやめた。
盗られたら、それだけのことだ。

体を流し湯につかると、昨日の華燭の典のことが思い出される。
窓から差し込む朝日が眩しい。

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同窓生Tくんと、その彼女R子さんが結婚するという報せを聞いたのは、夏頃である。つきあって15年になるという。Tくんは東大文一現役合格であり、早大で3年間チャプチャプやってた私より3歳若い。
で、他の同窓生とともに彼に麻雀を教えた者の一人が私である。

「教えた」と言っても抜群に頭の良い彼はあっという間に我々を抜き、彼に勝てることは稀になった。ほどなくして彼に出会ったR子さんもギャンブラーの才能に恵まれ、あっという間に私を抜き去った。戦略のTくんに記憶力のR子さんというべきか。
彼女の記憶力の良さは結婚式のスピーチでも紹介されていたが、私にも思い当たるところありありである。

・・・もうすでに彼女も社会人で、正月に皆で久しぶりに麻雀を打っていた時であるが、私が流局で手を開いたとき、彼女が怪訝そうな顔で見るので何故かと問うと、9巡目くらいの捨て牌を指して、なぜこれを切ったのだと聞いてくる。私自身は特に覚えていなかったのだが、彼女はその時の私の手牌はこんな形だった筈だと示してきた。確かにそうであった。
そのうえで、私の手牌の中の牌を指して、こちらを切るべきだったと指摘してきた。
私自身は正着手のつもりだったが、成程そうかな、と思ったと同時に、彼女には勝てないな、と思ったのを覚えている。

二人揃ってそういうレベルであった為(つまりそれだけ麻雀に情熱を注いでいた、という訳で)、3年前にTくんは司法試験を諦めて大分に戻って会社員となり、R子さんは東京に残ったのであった。
彼の壮行会の帰り、物産マンの親友Yとラーメン喰いながらリーマンショック後の銘柄トークをしたのを覚えている。

そういう状況であった為、二人は別れたのかな、と推測していた。
麻雀を覚えさせ、結果として彼のマンションに学生時代ずっと入り浸った者の一人としては、申し訳ないことをしたのでは、と思っていたので、夏に報せを受けた時は、正直驚いた。

大分での式は、さすがに地元である新郎側の参加者が圧倒的に多かった。若い女性達がダンスなどのパフォーマンスで華をそえたが、考えてみれば彼の同期は彼より10歳近く若いはずである。
男性同期からも、非常に仲良く、尊敬とともに愛されている様子がよく分かった。
私が「申し訳ないことをしたのでは」と思っていたのは、勝手な思い込みのようで、本人は大分の新しい仲間と楽しくやっており、全くもって幸せそうであるのが伝わってきて、大分に来てよかったなぁ、と思った次第である。

式自体も、最初の方こそ、新郎紹介において「最近の趣味は麻雀」と紹介され、「最近じゃないだろ」と仲間内でツッコんでいたぐらいなので、麻雀トークは禁忌事項なのかと思っていた。
しかし、同窓の友人代表スピーチ(これがまた余りにもスベっていて、内輪としては却って面白かったのであるが)辺りからちょいちょい麻雀話が出て、終いには麻雀動画に『愛』と彫られた特注麻雀牌まで飛び出す始末で、3次会も麻雀、と結局は麻雀ネタ炸裂の非常に新郎新婦「らしい」式で非常に盛り上がったのであった。
(因みに、その特注牌は盲牌すると「発」と間違える。)
なかなか得難い経験と言えよう。
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・・・そんなことを思い出していたので、危うくのぼせるところだったよ。




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