有限会社Ayleeds社長日記。継接ぎだらけですが、世界一周旅行もやってます。

プチ社長日記:『マイナスの果てに・・・』の話

僕は今日は気分がいい。
珍しく20時半には仕事を切り上げて、仲間と寿司たらふく食って、日本酒いっぱい飲んで帰ってきたから、そりゃ気分はいいわさ。

・・・悪い、いきなりちょっと嘘ついた。
ちょっとささくれだってる。

20時半に仕事を切り上げたのは、今日の仕事が上手くいかなくて心折れたから。
配下のメンバには、『お酒に逃げちゃダメだよ』とか言っときながら、ちょっと逃げた。

いや、まったく仕事が上手くいかなかったんじゃなくて、マイナスをゼロかちょっぴりマイナスにする仕事しか今日はできなかった。プラスにしてナンボの商売なのにさ。

帰りの電車でぼうっ、としていると、頭の中で会議が始まる。
脳内会議ってやつだ。
いつも、とは言わないけど、割とそう。
僕は自分の手を見る。酔い覚ましのペプシNEXを握りしめてる。

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【登場人物】
企画部長:いりー。40歳。
部員A〜E
技術課長

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部長:おらー、会議はじめるぞー。

A〜E:うぇー、たりぃー。

部長:いいかー、我が社はなぁ、新しい清涼飲料水をヒットさせて、
   業績を立て直さねばならんのだ。
   何としても。絶対。
   そこで諸君のアイデアを募る!!

A〜E:丸投げかよー。

部長:そうだな。。。まずはベンチマーク(お、コンサルっぽい用語)
   としてペプシNEXを超える製品を作ろうじゃないか。
   なんといっても、俺が愛飲してるからな。
   これを超える製品を作れば、俺が愛飲するのは間違いない。
   俺が愛飲するんだから、皆も愛飲するだろう。

A:自分基準ですね。

部長:俺の妄想だからな。

B:ところで、なんで部長はペプシNEXが好きなんすかぁ??

部長:いい質問だ。言い方は、うっすらムカつくがな。
   それは、俺みたいにデブりたくない人間にとって、
   カロリー、糖質、脂質、保存料、合成香料ゼロ
   というのは、非常に魅力的だからだ。
   いや、マジ凄くね?太る要素ナッシングじゃん。
   缶にも記載してるけどさ、「KING OF ZERO」だよ、
   「KING OF ZERO」!!

A〜E:ゴイス〜。

C:これを超えるとなると、、、何ですかね??

D:着色料ゼロ!じゃないでしょうか!?
 透明にするんですよ!!

A,B,C,E:お〜。それだ!!間違いない!!
    部長、それでいきましょう!

部長:ふっ、、、、。

A〜E:ど、どうしたんですか!?

部長:甘いな、それは昔、既にペプシがやってるのだよ。

A〜E:な、なんだってーーーー!

部長:クリアコークだったかな。
   そう、それは私がW大学生の頃で、西武新宿線の
   中井駅周辺に住んでる頃だ。

E:『恋の西武新宿線』ですね。

部長:お前、若いのによくそんなの知ってんな。
   浜田省吾ファンなの?

E:ガチっす。

部長:まぁいい。ハマショー好きに悪い奴はいないからな。
   で、俺は噂に聞いていたクリアコークに邂逅したのさ。
   勿論、買ったさ。

A:マジ感動でした?

部長:いや、当時、炭酸用のペットボトルは
   なかったんじゃないかな?
   そもそもあまりペットボトルがなかったね。
   なんかよくわからないナンチャラウォーターとかいうのが
   ペットボトルで出てて、
   それは親指があたる部分が最初から凹んでいるという、
   左利きの人間の人権を蹂躙する糞デザインだったのだが、
   金のないW大学はその空きペットボトルを
   フラスコ代わりにしてたくらいだ。

B:バカなんすかぁ?

部長:いや、貧乏なだけだ。バンカラが売りだからな。
   で、そもそもペットボトルは『午後の紅茶』が皮きりでな。
   国内でペット作ってたから、すんごく原価高いの。
   俺たちは
   『お茶売ってんの?それともペットボトル売ってんのwww??』
   と揶揄したものよ。

C:先見の明ないすね。

部長:そこは反省しとる。で、話を元に戻すと、
   クリアコークは当然のように缶に入ってたわけよ。

C:それが?

部長:アホだなお前。一生ヒラ社員な。
   缶だと、中身が見えないから透明かどうかわからないんだよ!!

A〜E:な、なんだってーーーー!

D:・・・って、当たり前ですよね?

部長:うむ。
   俺は缶をのぞき込んでは「透明かなー?透明なのかなー?」って
   確かめようとしてたんだが、
   あまりにアホらしくなってな。
   そこで、勿体ないとは思いつつ、ジョボジョボと地面にこぼしては
   透明だったのを確認した記憶がある。

A:勿体ない。。。

部長:うむ。当時は親の仕送りもすぐに尽きるような生活で、
   ちょっとした贅沢だったからな。
   なんか身を切られる思いだったよ。
   ついでだから、歩いてる蟻んこにかけたがな。

A〜E:ヒデェ。。。

部長:ちょうど踏切そばの自販機でな、近所に銭湯とコインランドリーが
   あるのだが、西武新宿線の黄色い電車が通り過ぎたのを
   昨日のように覚えておるよ。

B:昭和すかぁ?

部長:思い切り平成だボケ。お前も一生、ヒラな。
   で、そういう思い出が既にあるので、
   このアイデアでは全然パンチが足りんよ。

D:う〜ん、パンチ、ですか。。。

部長:パンチといえば、ペプシは胡瓜味だしたり、
   色も青色のペプシ出したりしてたな。

D:青色、ですか。

部長:どうみてもブルーレットのトイレ水だがな。

E:置くだけですか?

部長:置くだけだ。

D:あの〜。

部長:何だ。

D:えっとですね。。

部長:じれったいな。草食系か貴様は?

D:あの、、色だけでは駄目というならば。。。 
 どうでしょう、いっそ味もゼロにしてみては!!

部長、A,B,C,E:!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

部長:す、、、すごい。。。。震えるぞハート。
   それは思いつかなんだ。。。D、お前、たった今から課長な。

D課長:いや、恐縮です。しかし、技術的に可能なんでしょうか?
   それが心配です。

部長:よし、すぐに技術課長を呼べ!!!

D課長:はいっ!!

技術課長:お呼びで?

一同:はぇぇぇ。

部長:さっそくだがな、課長。
   平たく言うとペプシNEXを超える飲料として、
   これから色と味をとった飲料が作りたいんだが、
   それは可能だろうか?

技術課長:う〜ん、難しいですね。
   まず、コーラからカロリー、糖質、脂質、保存料、合成香料ゼロは
   すぐに我が社でも出来ます。
   ペプシにスパイがいるんで。
   色も、クリアーにはできます。ペプシでやってたんで。

部長:・・・みんなペプシの技術なんだな。

技術課長:でも、そこから味もゼロにするとなると。。。
     う〜ん、、あ、ヒポポスポロンを使えば!!

部長:ヒポポスポロン?

技術課長:そうです、ヒポポスポロン!
     これを投入すると、味付け成分のみを固化して
     沈殿させることができます!!

部長:そうか、それを濾過すれば、、、
   カロリー、糖質、脂質、保存料、合成香料、
   色素、味付がゼロになる飲料ができるんだな!?

技術課長:そうです。そしてそのまま2日ほど貯蔵庫で寝かせれば、
     炭酸も抜くことができます!!

部長、A〜E:!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

部長:た・ん・さ・ん、、、か。。。それは気付かなかった。
   その工程を経るとカロリー、糖質、脂質、保存料、合成香料、
   色素、味付、炭酸がゼロになるのだな!?

技術:はいっ、そうです!!

A〜E:ゴイス〜!!

部長:よし、さっそく製造にとりかかりたまえ!!

技術部長:はいっ、よろこんでー!

D課長:やりましたね、部長。

部長:うむ。そなたの味付ゼロのアイデアには、
   雷に打たれたようだったよ。
   まさにコロンブスの卵だな!

D課長:恐縮です。

部長:ペプシNEXのカロリー、糖質、脂質、保存料、
   合成香料ゼロを遥かに凌駕して、
   色素、味付、炭酸もゼロだからな。
   何が「KING OF ZERO」だバーカ。
   俺たちはさしずめ「KING OF KINGS OF ZERO」だな。

D課長:『王の中の王』、、、す、素敵です。

部長:そういうことだ。うわはははは。今日の会議はこれにて解散!

A〜E:ありゃりゃ〜した!!(ありがとうございました)

--エピローグ-----------------
部長は一人、自室に残って紫煙をくゆらせていた。
今日はいい仕事をした。。贅肉をそぎ落とした、完璧な飲料を我々は作るのだ。。
部長は満足気だ。

それにしても、いったい、その完璧な飲料とはどんなものだろうか?
楽しみで楽しみで仕方がない。

でも、今日は疲れた。
もう帰ろう。。。

そういえば、会議で喋りっぱなしで喉が渇いたな。。。
ふと見ると、最近の福利厚生で置いたのだろうか?
ウォータークーラーが見える。
部長はそこから水をカップになみなみとそそぐと、一気に飲み干した。











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