プチ社長日記:『感情の振れ幅の最大値:世界報道写真展2010』の話

毎年この時期になると、恵比寿写真美術館の世界報道写真展が楽しみになる。
先週、公開初日に行こうと思ったのだが、諸般の事情で今週行くことに。風が強い。


世界報道写真展2010

大賞はイラン大統領選挙に失望した女性が闇夜に叫ぶ写真。
大賞の写真ではここ数年で1番の出来と感じた。

報道写真は良くも悪くもメッセージ性が問われる為、事象が象徴的に、つまりは極端に現出した瞬間を収めるものになる。結果、悲惨な事件はより悲惨に、幸せな出来事はより多幸感に満ちたものに映り勝ちだ。
それが私達の当該事件・出来事に対する正しい評価に結びつくかは置いておいて、少なくとも日常では触れられない問題に関心を惹き付けるその威力は必要かつ凄まじいものであり、また被写体の抱く感情その他はまさしく真実であるが為、見る者の胸を打つ。
写真1枚を以って、例えばイラン大統領選挙を理解したとするのは危険ではあるが、そこに写る女性の失望や怒りはまさしく真実だからだ。

このように、毎年当企画においては、人々の怒り・失望・喜び・希望といった感情の振れ幅の最大値を捉えたとでも言った作品が多く、中には正視に耐えない悲惨なものもあるが、どんな写真であっても、被写体(死体であっても)に幾ばくかの愛情を喚起させらるのは、程度の差こそあれ似たような感情を私達が日々経験していて、そのことを最大威力で(つまり、最も解りやすいカタチで)提示されるからに他ならない。
もし真の問題というものがあるならば、それを見る我々が何も感じなくなることではなかろうか。


因みに、当写真展は自然、スポーツの部などもあり、ユーモラスな作品も(今回は少なかったように感じたが)存在する。いずれにせよプロの目を通して対象を見ることができ、芸術的意味合いもさることながら、世界でおきている出来事に対する知見が深まる優れた企画である。是非一度、足を運ばれることをお勧めする。(多分、私もあと1回は行くだろう)
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